今、ストレスを感じていますかと問われたら、どう答えますか。ないという人は少数派
かもしれません。
ではストレス解消法はどうでしょう。挙げてみると、食べる、のむ、買物、賭け事、ほ
かには音楽を聴く、読書、旅行や山登りなどの趣味に没頭するなどがあるでしょう。
50代の女性Jさんのストレス解消法は「買物」でした。
ある日、洋服の整理を始めて、自分がどれだけたくさんの買い物をしたか驚いたそうで
す。
押入れや段ボールの箱の中から、値札の付いた買ったことさえ覚えていない洋服や、バ
ッグが山ほど出てきました。
必要だからでなく、買うことで仕事のストレスを解消していたのでそれなりの効果はあ
ったのでしょう。ストレスを「のむ」や「食べる」で解消していれば体を壊していたかも
しれません。
問題はストレス解消のために買い物をしていることに何年も気づかなかったことです。
もし早めに気づいたら、他のストレス解消法を探せたかもしれないし、ものを買わずに
旅行にでも行ったのにと思ったそうです。
Jさんが気づいたのはそのことだけではありません。ストレス解消のために買ったもの
があふれてそれが「片づけないといけない」という更なるストレスを生んでいたのです。
家族に「いいかげん何とかしたら」と言われると「仕事が忙しい」や「体調が悪いか
ら」と言い訳している自分にますますイライラする悪循環。
なぜものがあふれているのか、それがストレスの結果であれば、家の中のものを処分し
てもいずれまた同じ状況に陥ります。
このことに気づいたJさんは悩んだ末、ストレスを解消するには仕事を辞めるしかない
と早期退職をしました。
ものと同じでストレスも溜めこまない方がよいようです。
50代のKさんは欠けたお皿や使わなくなった陶磁器類を箱に入れて溜めておきストレス
解消に使うそうです。
パート先の上司や家族、夫の両親などに腹が立った時にベランダのコンクリートの上に
新聞紙を敷きつめ、そこへ茶碗や皿を「○○の大馬鹿」とか「コンチクショウ」と言いな
がらコンクリートに叩きつけるそうです。
この時、ロックとかサンバなど賑やかな音楽をかけるとリズムに乗ってできるとか。
想像するとこわいような、おかしいような気もしますが、ご本人いわく、これですっと
して気持ちを切り替えられるそうです。
これをしないとうじうじ考えて、いつまでたっても気持ちの整理がつかず、引きずって
しまうから。
以前は買物をしたり、お酒を飲んだりしたこともあったけれど、ちっとも楽しくないし
お金の無駄使いだと思ったそうです。
また家族や友人に他人の悪口や愚痴をこぼすと、その時は良くてもあとで言わなければ
よかったと思うこともあるのでこの方法が後腐れがなくて一番だそうです。
食器を割ることを思いついたのは偶然で、たまたまベランダで素焼きの植木鉢を移動し
ていた時に落として割ってしまった。
その時の音と感触がよくて、試しに欠けたお皿を思い切りコンクリートにぶつけると気
持ちがいい。しかし使っているものを割ることはできません。
そこでガラスのコップやお茶わんなど欠けたりひびが入ったものは箱に入れて溜めるよ
うになりました。コンクリートにぶつけた破片は新聞紙を敷いてあるので処分も
簡単です。ストレス解消法も人それぞれですね。