【16、空き家で困っている】




 実例紹介 これから増える現実

 空き家がニュースで取り上げられる機会が増えました。そこでひとり暮らしの50代女性

Yさんの例を紹介します。

 Yさんは老前整理を始めようと考えていたところが、離れて住む父親が入院し母親と交代

で仕事をしながら病院通いをすることになりました。

 Yさんは二人きょうだいで、頼りにしたい兄は仕事が忙しいという口実であてになりませ

ん。父が亡くなった後、母も体調を崩し施設に入りました。Yさんの施設通いは続きます。

 こうして数年後に母が逝き、残るは両親の家です。葬儀を終えた兄は家のことはYさんに

すべて任すといいます。

 久しぶりに実家に帰ってみると庭は雑草が伸び、ゴミ捨て場のような有様でした。

 空き家になって10年近い木造の家は雨漏りがし、老朽化が進んでいました。おまけに

生活用品がそのまま残されています。

 近所の人には「いつまでも放置しておかれると物騒で困ります。放火でもされたらと思う

と、おちおち眠れませんよ」と言われました。

 兄に相談すると売ればいいと簡単に言います。

 ところが不動産屋に相談すると家を壊して更地にしてくれとのこと。

 家を壊すにはそれなりのお金もかかるし、その前に家の中の遺品を整理しなければならな

い。しかし思い出の品もあるし、何もかもごそっとトラックで運び出すようなことはしたく

ない。

 そこでひとりで休みの日に通い、半年がかりで遺品整理をし、解体業者に依頼して家を壊

し更地にしましたが買い手がつかず途方に暮れています。

 他には遺品整理ができないから放置されている家や、取り壊しの費用がないから放置され

ている家、親族と連絡が取れない空き家もあります。

 荒れたゴミ屋敷というと他人事かもしれませんが、実家の問題として考えると現実味を帯

びませんか。


『転ばぬ先の老前整理』より






17、空家の相続問題⇒売った時の特例 (次頁)




     





















              

             
                                                                           


                                                                        





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