家族のコミュニケーション


老前整理だからできる

 最近、ご夫婦でどのような会話をされましたか。
 長年連れ添ったご夫婦ほど、「あれ」や「それ」で通じるので、会話が少なくなっていませんか。

 また相手の持ち物でトラブルになっていませんか。

 夫婦だからわかっているつもり、しかし本当に相手の考えていることをわかっているでしょうか。

 妻は夫の山のような蔵書を何とかしてほしいと思っている。

 夫は妻のタンスからはみ出した洋服やたくさんのバッグや足が2本しかないのに、なぜあんなにたくさんの靴が、なぜ必要なのか理解できない。

 この「なぜ」を無視して片づけろ、捨てろとお互いを一方的に攻めるからトラブルになるのです。

 ものを買う、集める、残しておくにはそれなりの理由があります。もしかしたらそこがとっても大切なこと、大事なことかもしれません。

 60代のあるご夫婦の例を紹介しましょう。

 ある日、妻が下駄箱の奥に入っていた夫の古い靴を捨てました。

 この事実を知った夫はとてもショックを受けました。

 なぜなら、この古い靴は夫にとって思い出がつまった宝物だったからです。

 捨てられた古い靴は学生時代から憧れていた外国製の靴で、初任給をつぎ込んで買った思い出の靴でした。だから靴が履けなくなっても大切にしまっていたのです。

 もし妻がその理由を知っていれば、古いからといって捨てることはなかったでしょう。捨てる前にただひとこと、夫に「これを捨てていいかしら」と聞けばよかったのです。

 何十年も連れ添ったご夫婦でさえ、こうしたことがあるのです。長年一緒にいるのだから、言わなくてもわかっているだろうという思い込みは間違いです。多くのことは言葉にして言わないとわからないものです。

 独立した子どもたちの荷物、CDや本が残っている場合も、親子でどうするか話をしましょう。

 親子でアルバム整理も子どもが両親の若いころの話を聞く良い機会です。

 こうして物を整理する、つまり老前整理をすることで、夫婦や親子のコミュニケーションを図ることが出来るのです。ものを通してお互いに話すことがいかに大切かということです。

  たとえば、物置に古い扇風機があったとします。これをどうするか家族で話し合えば、これからどのように暮らしたいかが少しずつ見えてくるのではないでしょうか。

  クーラーで十分だとか、まだ使えるから修理に出して使う、もしくは古い扇風機で発火したという事件があったからもう処分した方がいいだろうなど、きっといろんな意見が出てきます。

 これからの暮らしに必要かどうかを話し合うことが、次の暮らしを考えるきっかけになるのです。

 単にコミュニケーションをとりましょう。夫婦や家族の会話を増やしましょうと言っても具体的どうすればいいかわからない。

 しかし家の中の物についてどうするかを考えること、具体的なテーマを挙げることで話が広がっていかないでしょうか。

『心と暮らしを軽くする『老前整理』入門』より


 問題別

なぜ片づけられなかったか理由

・50歳からの暮らしを創造する ⇒老前整理のナッジA(自分史年表)

家族のコミュニケーション老前整理だからできる

・このままではものは増えるばかり⇒なぜ老前なのか

・未経験の老いることへの対策⇒老いを受け入れる

・「いつかやろう」を解決する⇒老前整理のナッジ@(カレンダー)

・安全について⇒暮らしと安全

・災害について⇒災害への備え

・ひとり暮らしになったら⇒老前整理をするために

・子どもたちに託すこと⇒仏壇や墓のこと

・子どものいないご夫婦⇒2人で今後の計画を立てる

・高齢の親の家の片付け⇒ゴミ屋敷にならないか心配!

・親の介護中⇒介護をしている人ほど、自分を大切にしよう!

・家族の遺品整理は一筋縄ではいかない⇒「もの」の整理「心」の整理

・空家で困っている⇒実例紹介

・体調がわるいとき⇒焦らない