【4、来客用の食器】





来客用の食器
       




 皆さんに質問です。「最近、来客用の食器を使うような来客がありましたか」

 講演での反応は、ほとんど「ありませーん」で、くすくすと笑いが起こります。

続けて問います。「では来客があったのは何年前ですか」

 ここで考え込んで、「覚えてない」となります。

つまり何年も来客用の食器を使っていない、飾ってあるだけのようです。

これこそもったいないと思いませんか。

 また「日常生活でよく使っているのは漫画の描いたコップやおまけのお皿ではありません

か」と訊くと、苦笑しながら「そうそう」となります。

 おまけの皿やコップが悪いとは言いませんが、せっかくクリスタルのステキなグラスや磁

器のティーセット、お皿などがあるのなら日常生活を豊かにするために使いませんか。

 老前整理は自分を大切にすること、慈しむことです。

 高級ワインでなくても、カットの入ったグラスに入れて味わうとなんだかいつもよりおい

しいと感じるかもしれません。

 このような来客用の食器が眠っているのは、ハレとケの区別がなくなってきたからです。

ハレとケは非日常と日常。公と私とも言えるかもしれません。

 正月や結婚式には晴れ着を着る。どこかへ出かける外出着つまりよそいきとふだん着る服

は違うものでした。

同じように日常使いの食器と来客用の食器を分けていました。

またこの時代は今のように外食のできる店が少なかったし、来客は家でもてなすのが当たり

前でした。その名残の食器が今も飾られているのです。

 しかし来客が なくても家族で気軽に外食をする機会が増え、暮らしも変わりました。

 来客は外の店でもてなすようになったにもかかわらず、来客用の食器はそのままになって

いる。もうおわかりですね。ここらで一度棚おろしをしましょう。

 グラスだけでなくお皿も出して使いましょう。お皿を変えれば料理の見え方も変わり、気

分も変わるかもしれません。

 年を重ねるほど、いつもの料理、いつもの器になりがちなので思いきって使ってみてくだ

さい。家にあるものを使うだけでお金はかかりません。





 もったいないのは使わないことです。

他には、旧家で法事や結婚式のための一人用の脚付きのお膳や食器のセットが何十客と蔵に

眠っているけれど、もう使うことがないのでどうすればよいかという相談があります。

 このようなまとまったものを家族で使うのは無理ですね。まず友人、知人、飲食店主など

に声をかけてみる。

希望者がなければ、このような品を扱っている古道具の業者に相談してみてください。

 その場合、値段のつくものとつかないものがあります。

またそんなに安いのかとがっかりされるかもしれません。

安くても引き取ってもらい誰かの役に立てば、というくらいの気持ちで手放されるのが良い

かもしれません。


『転ばぬ先の老前整理』より      
                                                             

        






                               ひとり暮らしの80代女性のお宅の食器棚


 



     

























           

             
                                                                                                            



                                        






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