【8、手紙・日記】






トラブルにならないように

                     





 年賀状は「何年保管すればよいですか」という質問をいただきますが、手紙にこのような


質問はありません。この差を考えると、手紙は残しておきたいものとそうでないものがはっ


きりしているからでしょう。そして大切な手紙はずっとしまいこまれているようです。


 2017年1月に、坂本龍馬が暗殺される直前に後藤象二郎に送ったとされる手紙の草稿が見


つかったとニュースになりました。


 しかし龍馬と違い、多くの人の手紙は他人にとり価値のないもので、不用意に残しておい


たがゆえに思いがけないトラブルの元になることがあります。


 夫が亡くなり、遺品整理を始めた妻が見つけたもの。それは夫の書斎の机の引き出しの奥


に保管していた、妻と結婚する以前の彼女からのラブレターでした。


 これを読んで妻が夫と同じ墓に入るのは嫌だと言い出した例があります。


 この話をどう思われますか。50年も前の手紙を後生大事にしまっておくなんて信じられな


いと思う人。


 わかるなあ、若いころの思い出は大切だという人。


 そんな手紙を残しておいた夫が無神経で早めに処分しておくべきだったという人。


 妻と結婚する前の手紙なのだから騒ぎ立てる妻の方がおかしいと思う人。夫は手紙の存在


を忘れていたのではないかと思う人。


 見かたはいろいろあるでしょう。


 ただこのように昔の手紙でもトラブルが起こる可能性があるということを知っていただき


たいと思います。


 とはいえ、手紙を書く人は減っています。パソコンや携帯のメールならば何十年も残って


いる可能性はないでしょう。


 残るからトラブルにもなるけれど、かけがえのない大切な思い出なのかもしれません。


古い手紙の束も、一度見直してみてはどうでしょう。






年賀状じまい 「年賀状は本年かぎり」にする


「歳を重ねるにつれて、年賀状を出すのが面倒になってきた。どうすればいいだろうか」と


いうご相談もよくお受けします。


 あるセミナーに参加していただいた80代男性の方は、毎年300枚の年賀状を出していると


おっしゃっていました。高齢になってからもその枚数の年賀状を出し続けていけるとは、さ


すがに思えませんよね。




年賀状を整理する方法は2つです。


1つは「年賀状を出さない」ことです。簡単ですね。でも、これが無理なくできるのなら

ば、最初から悩むことはないでしょう。


そんな失礼なことはできないというのが普通です。


もう1つは「今年かぎりで新年のご挨拶は遠慮させていただきます」とはっきり書くことで


す。


 以前、私が働いていた有料老人ホームに末期がんの方がいらっしゃいました。来年は自分


が年賀状を書けなくなるだろうから、もらう一方ではつらいからと、「年賀状は本年かぎり


にさせていただきます」と一筆したためて年賀状を送りました。もちろん病状については一


切触れていません。


 こうしたときには、体調でも崩しているのかと心配して連絡をくださる人がいるかもしれ


ません。理由は書かずとも察してくださる人もいるでしょう。ありがたい思いやりには、感


謝とともに本音をお話になってみてはいかがでしょう。もしかしたら、同じように年賀状の


形式的なご挨拶を負担に感じているかもしれません。


 定年などで退職すると、少なくとも仕事関係の年賀状は減ります。さびしいと思う人、ス


ッキリしたと思う人、人それぞれでしょう 。


 まず考えていただきたいのは、毎年あちらから届くからとなんとなく出している年賀状で


す。二度と会うことがないかもしれない人、顔すら思い出せない人に、今までの惰性で年賀


状を出していないでしょうか。


 退職して時間ができたときに、そういう人と会う機会を作ってみてはいかがでしょうか。


働いているときはお互いに忙しくて、なかなか会えないという友人もいることでしょう。


 大切なのは今までではなく、これから相手とどういう関係を築きたいかということです。


どうつながりを保てばよいのかを考えながら、年賀状の整理を進めていきましょう。 


『老前整理のセオリー』より






考えておきたいこと


 人に見られたくないものはなんでしょう。日記や手紙でしょうか。


 日記にまつわることについて今までにいくつか相談を受けました。


 70代のひとり暮らしの女性Aさんが、自分がいなくなった時に、日記を見られたくない


がどうすればよいかという話。


 これは箱にでも入れて、蓋にこのまま廃棄処分にしてくださいと書いておき、ご家族、ご


親戚にその旨を伝えておくかでしょう。しかし、確実とはいえません。本当に読まれたくな


いのであれば、早めに処分しておかれるのが間違いないでしょう。


 次は日記を残された立場です。40代の女性Bさんの悩みは亡き父親の日記で、押し入れ


の奥に眠っています。


 Bさんにすれば、父親のものだから中を見ずに処分はできない。けれど仕事が忙しく、段


ボールの箱は夫の転勤の度にそのまま運んでいます。


 そこで、Bさんに尋ねました。「引っ越しのどさくさに紛れて、日記の入った箱が行方不


明になったらどうしますか。必死で探しますか」


Bさんは少し考えて、「探しません。多分、ほっとすると思います」


 また50代の男性Cさんは妻や娘には見せられないコレクションをどうすればよいか悩ん


でおられました。


 自宅以外の場所に保管してあるそうです。万が一自分に何かあった時に、これを見られた


らと心配しておられました。


 これは正直に家族に話すか、信頼できる友人に頼んでおくか、その時はその時と開き直る


かでしょう。


 またこれからはパソコンの中にも見られたくないものがあるかもしれません。


このように、万一の時に見られて都合の悪いものは何かということを考えておいた方が良い


かもしれません。



『転ばぬ先の老前整理』より



           


 


     

























 



             
                                                                                                       


                                               





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