【9、きもの】




きもののリサイクル
               

         娘時代のきもの            母親のきもの
                           



 きものも女性の手放しにくいものに挙げられるでしょう。

 洋服に比べて高価なものが多く流行に左右されにくいからでもあるのでしょう。

 嫁入り道具として親が誂えてくれたきものや、母親や祖母のきものを譲られたという話も

よく聞きます。

 雑誌には、きものをスカートや部屋着にするリフォームの仕方が紹介されていますが、実

行されている人はそれほど多くないようです。

 リサイクルに出そうとした人は、「高かった泥大島が千円と言われたら、悲しくて涙も出

ないので出すのをやめた」そうです。

 この場合、捨てるよりも1000円でも誰かが着てくれるのであればそれで良しとしようと

いう考え方もあります。またもう少し高く引き取ってくれるところを探すことも考えられま

す。

 他には日本人形を作っている人に差し上げますという人もありました。人形の帯やきも

のに使えて喜んでもらえるそうです。

 お寺の市が立つ日に古着屋さんが店を出すので、そこへ直談判できものを売りに行くと

いう人もありました。




リフォームで活かす

 60代の女性Eさんはスポーツジムの更衣室で、隣で着替えている同年代の女性が素敵な

ロングベストを着ているのに気が付き、思い切って声をかけました。

「奥さん、素敵なベストですね」

「そうでしょう。これわたしのきものを仕立て直してもらったのですよ」

「やっぱり生地がいいからですね。おしゃれだわ」

ほめられて気をよくした女性はベストを脱いで見せてくれました。

「リバーシブルで、裏もかわいい柄でしょ」

急に小声になってEさんが訊きました。「ところでこれを仕立ててもらうのにいくらくらい

かかりますか」

「15000円です」

 Eさんは値段を聞いてあきらめました。

 このベストに15000円出すのなら、洋服を買うと思ったからです。

 ベス トにした女性は気に入っていたきものを何とか生かしたいと思ったので15000円は惜

しくなかったのでしょう。このあたりが難しいところです。

 着物をほどいて縫い直す手間やかかる時間を考えたら高くはないはずです。しかし洋服が

手軽な値段で買える時代ですから、高いと感じてしまう。

 きものをどうにかするなら、手始めはタンスから出して虫干しをしたり、防虫剤を入れ替

えたり、手入れをしましょう。

 広げてみて、これから着る機会をつくるか洋服に仕立て直して着てみたいか、誰か欲し

いという人があれば譲るか、思い出として残すか。どれでもないからリサイクルに出すか、

さてどれにしますか。


『転ばぬ先の老前整理』より   


          

    

 



     






















                                     

                             
                                                                               


                                                                





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