■目次 第1章 老親と家族の幸福のために 第2章 老親の介護の現実と向き合いましょう。 第3章 介護と「母娘」「夫、息子」 第4章 老いた親を「捨てる」覚悟を持てますか? 第5章 親の幸福のために―準備編 第6章 親の幸福のためにー実践編 第7章 自分が老いる前にしておくべきこと― 子どもからの自立を ■2014年10月30日 朝日新聞出版 ■価格:本体1300円+税 |
タイトルにギョッとされた方も多いでしょう。このタイトルは出版社からの提案で、イン パクトが強いです。 「はじめに」を読んでいただければ、私がなぜこの本を書いたかご理解いただけるかと思 いますので紹介します。 ■はじめに 「老いた親から離れなさい」とは、親を見捨てろということかと思われたかもしれませ ん。 なぜ親から離れた方がよいかというと、親子が共倒れになるからです。これを親の介護 を一人で抱え込んでいる人に伝えたいと思いました。 わたしの周囲にもいますが、そのような人に限って、人の話に耳を貸さないのです。 ヘルパーを頼んだらどうか、デイサービスやショートステイを利用すればどうかと提案 しても頑なに今のままでいいからという答えが返ってくるのです。 自分の親ではないから、平気でそんなことがいえるのだという思いがあるのかもしれま せん。 このような状態を私は「水難救助」のようだと思っています。 川で子どもが溺れたら、親は躊躇せずに飛び込むでしょう。 そして、ニュースで親子が溺れたとか、子どもは別の人が救助して助かったけれど、助 けにいった親が亡くなったという悲しい話もあります。 目の前で子どもが溺れたら飛び込まずにはいられないのが親の情だと思います。 同じように親が、介護を必要としたらひとりで何もかもしようとしていませんか。 では水難救助のプロはどうしているのかと調べてみました。 (2訂版『消防救助技術必携〈水難救助編〉』名古屋市消防局 監修 より)
一番危険度の低いのは@でABと進むほど危険度は増し、Eが一番危険です。 このようにプロに優先順位があるにもかかわらず、素人は危険度が高いCのように泳いで 接触しようとするのです。 救助方法の選択として水面に救助者を発見した時に、まず2つの方法があります。 泳がないで救助する方法と、泳いで救助する方法です。 泳がない場合は、陸上からと船艇を使っての2つの選択肢があります。 泳いでの救助では、資器材を使ってと、素手での2つです。 つまりプロはその時にどの方法を取るのがよいかを判断することが必要とされていま す。それが救助を成功させる確率が高く、救助者の安全でもあるからでしょう。 このようにプロは客観的に状況を把握し、救助法を選択するのです。 では救助の素人の親はどうでしょう。子どものためにとにかく助けなければと、たとえ 泳げなくてもドボンと飛び込むのです。この親をだれも責められません。 そしてひとりで親の介護を抱え込んでいる人は、子が親のためにドボンと川に飛び込ん だようなものです。 目の前の事しか見えずにアップアップしているのではないでしょうか。それでもまだ大 丈夫と助けを求めない人が多いのです。 ここで親の介護という救助をするのにどうするか。冷静になって考えてみることです。 目の前の子どもを助けるために川に飛び込んだ親を第三者の目で見るとどれほど危険で無 謀なことでしょう。 岸辺から第三者の目で見直してみると、違う選択肢が見えてくるかもしれません。 このまま親を抱え込んで川に流されていくと2人とも溺れます。 だからこそ一度親から離れて、岸辺から今の状況を眺めてみてください。それが親にと ってもプラスになると思います。 また水難救助では長いものやロープ、ボートなどを使うように、介護で使える制度やサ ービス、ものについて紹介しました。 どうすれば親子が気持ちよく暮らしていけるか、考えていただくきっかけになればと思 います。 2014年9月吉日 |